吉川利彦 巨大な地下宮殿!?
こんにちは! 吉川利彦です!!
皆さんは子どものころゲームでダンジョン攻略に夢中になったことはありますか?
私はかなりハマっていました! やり過ぎて怒られるほどに。。。(笑)
ゲームに出てくるダンジョンのような施設がなんと栃木県にあるそうです!
映画の地下宮殿のシーン?
皆さんはこの写真を見て、どこだと思いますか?
映画のワンシーン?それともピラミッドの内部?
『インディ・ジョーンズ』の地下宮殿のシーン? それとも、エジプトのピラミッドの内部でしょうか?
いえいえ、実は日本国内の、とある場所にある巨大な地下空間なのです。
その場所とは、「餃子(ぎょうざ)の街」として知られる栃木県宇都宮市の『大谷(おおや)資料館』。建築に使う"大谷石"の地下採掘場跡で、石材を採掘しているうちに、このような空間ができあがったのだそうです。
早速、宇都宮に出かけてみましょう!冒険を予感させる資料館へのアプローチ
『大谷資料館』は、東北自動車道の鹿沼ICから車で約20分ほど、宇都宮ICからだと約12分ほどの場所にあります。最寄りの駅から路線バスを利用することもできます。
昭和を思わせる、昔懐かしいボンネットトラック
駐車場に車を駐めて、資料館への道を歩いて行くと、道脇に昔懐かしいボンネットトラックが置かれています。かつて石材を運んだトラックだと思いますが、なんだか昭和の時代にタイムスリップし、時空を超えた旅にいざなわれているような感じがして、ワクワクしてきます。
『大谷資料館』館長の鈴木洋夫さん
今回は、館長の鈴木さんに案内していただきながら、『大谷資料館』館内の様子をレポートします。
ちなみに、館内のガイドツアーをお願いする場合は、だいたい一週間前までに連絡すれば、日程調整の上、「うつのみやシティガイド協会」のガイドさんを手配してくださるそうです(1名から予約可能)。いよいよ地下の世界へ!
まずは、受付横の展示室へ。大谷石の採掘に使った様々な道具などが展示されています。
大谷石の採掘に使われた道具などの展示
その先の階段を下りていくと、目の前にいきなり巨大な空間が現れます。上の方がかすみがかっているが、これは夏にしか見られない現象
上のほうが、ややかすみがかっていますが、これは地上との温度差で発生するそうで、夏にしか見られない現象とのこと。
館内(地下)の気温は、真夏の日中でも12度前後しかなく、少々肌寒く感じるので、寒がりの人は上着を用意した方がいいでしょう。また、結露で地面が滑りやすくなっている場所があるので、滑りにくい運動靴で来館するのをおすすめします。まるで、地下宮殿!
地下に下りて、まず驚くのは、空間の大きさ。広さはおよそ2万平方メートル(140m×150m)におよび、深さは最深部で地上から約60mにもなるそうです(公開エリアは深さ30mの地点まで)。
大きな柱が、まるで巨大な宮殿か神殿を思わせる
大きな柱が天井を支え、柱と柱の間を横に向かって、さらに奥へと掘り進められた構造になっています。これは崩落(ほうらく)を防ぐために、10m掘ったら、10m残す、ということを繰り返したために、このような空間が生まれたのだそうです。
石段を下りていき、館内の奥へ進むと、普段は非公開の秘密の部屋があり、今回は特別に案内していただきました。地上からの光が射し、神秘的な雰囲気の「教会ゾーン」
ここは、「教会ゾーン」と呼ばれる空間。天井と、隣接する採掘場との間の壁の一部が崩落し、地上からの光が射し込んでいます。この部屋自体が、光と影が織りなす大きなアート作品のようで、なんともいえない神秘的な雰囲気が漂っています。
今のところ年間に数組ですが、実際に結婚式が挙げられることもあり、また、映画や映像作品の撮影にも使われることもあるそうです。
「教会ゾーン」は、昨年(2015年)は冬季限定で一般公開したそうですが、今年の予定はまだ未定とのこと。館内には、ステージもある
館内には、このほかコンサート等に使われるステージや、今まで行われたイベントや撮影等の様子をパネル展示する部屋などがあり、グルッと一周するのに、およそ40~50分ほどかかります。大谷資料館の魅力などについてうかがいました
映画のセットが、そのまま展示されている場所もある
館長の鈴木さんに、まずは大谷石について、うかがいました。
「大谷石は、うすい緑色の凝灰岩で、耐久性・耐火性に優れ、軽くて加工しやすいことから、石材として広く使われています。
奈良時代の古墳にも使われるなど古い歴史がありますが、採掘が本格的に始められたのは江戸時代の中頃から。そして、大谷石の名が一般に広く知られるようになったのは、二十世紀建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトが帝国ホテルの旧本館に使ってからです。
帝国ホテルは完成直後に関東大震災(大正12年9月)に見舞われましたが、大きな損傷を受けることはありませんでした。これにより、大谷石の耐震・耐火性の優秀さが認められたのです。
現在、『大谷資料館』となっているこの地下採掘場は、大正8(1919)年から採掘がはじまり、戦時中は中島飛行機(現・富士重工)の戦闘機『疾風(はやて)』の部品工場などとして使われたこともありました。その後、昭和54(1979)年から資料館としての公開がはじまり、昭和61(1986)年まで採掘が続けられました」映画撮影用のセットが組まれた様子(写真提供:『大谷資料館』)
最後に、『大谷資料館』の魅力についてうかがいました。
「このような巨大な地下空間があることに、まず驚かれると思いますが、先ほどご覧いただいたように夏には館内にかすみがかかり、冬には"石の華"と呼ばれる、夏の間に結露で湿った岩肌が乾燥して噴出してくる塩の結晶を見ることができます。
このように、地下世界ならではの四季の風物が楽しめるのが、当館の一番の魅力だと思いますので、ぜひ季節毎に足を運んでいただけたらと思います。
なお、現在当館は、映画やドラマ、映像作品の撮影のほか、コンサートや美術展、演劇場などとしても注目を集めており、昨年(2015年)は114件の撮影が行われ、年間来場者数は38万人となり、その数は、お陰様で年々増えています」
最近は、SNS等で評判が広まり、若いカップルのお客さんも多いのだとか。もしかすると、その中から「教会ゾーン」で結婚式を挙げる人も出てくるかもしれませんね。
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■大谷資料館
住所:栃木県宇都宮市大谷町909
TEL: 028-652-1232
営業時間:9:00~17:00 (最終入館は16:30まで)
休館日:年末・年始
アクセス・地図 → http://www.oya909.co.jp/access/
資料館に隣接して、軽食を取れるお店もあります。資料館に隣接する『ROCKSIDE MARKET』では軽食やジェラートなどが販売されており、店内での飲食も可能
意外なものも大谷石製?
大谷石を使った建築といえば、前述した帝国ホテル旧本館が代表であることは間違いないですが、そのほか、カトリック松が峰教会(宇都宮市)、宇都宮聖ヨハネ教会(宇都宮市)、自由学園明日館(東京都豊島区)など、各地の様々な建物にも使用されています。
そして、宇都宮といえば餃子ですが、宇都宮駅前に立つあの彫像も、実は大谷石製でした。
『大谷資料館』見学の帰りに餃子を食べ、『餃子像』の前で記念撮影すれば、かなり満足度の高い日帰り旅行になりますね。
建築などに用いられる石材採掘場だったんですね。
ここで採掘される石材は耐久性・耐火性に優れ、軽くて加工しやすいとのことで名前が付くほど有名みたいで驚きです。
しかも、地下なので涼しいから夏に行ったら快適ですし、餃子も食べられるのでかなり満足できそうです。
興味があるかたは行ってみてはいかがでしょう?
以上、吉川利彦がお送りしました!